池袋の隠れ宿で目がさめる。畳の四畳半。
周りは外国人旅行者しかいない。
外国人向けに、この宿では日本を意識したものばかりが並んでいる。
やりすぎではないか。というくらい日本だ。
だがそれが心地いい。
いつもの喫茶店にはいる。
この「いつもの」が東京にちょこちょこできてきたのが、嬉しい。
わが町とは言えないがすこしずつ慣れてきた。
おじさんのオアシスと呼ばれているこの喫茶店は、みな、何かをしに、この店に来ている。
保険の話、投資の話が飛び交い、サラリーマンはノートパソコンのキーボードを叩いている。
狭い空間でそれぞれの仕事が進み、それぞれの明日が作られてゆく。
空想するだけでなく、なんらかの出力が大事だ。なにげない文章にも、明日を変える力が宿っている。
僕の場合は音楽、譜面。一日一枚でも、譜面を書きたい。
それだけが自分らしく生きた証であり、明日への一枚となる。
昨日いただいた宿題に集中する。
飛行機の時間ギリギリまで。
あとから振り返ると、あの時電車一本遅れていたら、飛行機に乗り遅れていたのだ。あぶない。
あと一歩早く乗れていたら、あんなに走らなくてよかったこともあとから分かることだ。
とにかく走った。
成田空港に着いてからが本番だ。
第三ターミナルまで鼻から息を二回吸い、口から一回。
小学校のマラソン大会の時にならった呼吸法をいまだにやっているが効果はあるのかわからない。
運動不足だな。と走りながら身をもって体感する。
足が思い。肺が小さくなっている気がする。
佐賀に帰ったら運動だ。
しかしまだ、いまは宿題を…と思うと、こうして体力を失っていくのだな、と思う。
人生は長い。焦らずいこう。まだまだ捨てられる無駄な時間はある。
スマホにやられたらアカン。
佐賀行きの飛行機は心配になるくらい空いていた。
おかげで、となりのテーブルにミニキーボードを置いて楽譜がかけた。
ありがたい。久しぶりの九州。雨が降り始めた日にここを出て、雨がやんでから帰ってきた。
ニュースも全然見ていないので、災害の実感がない。
今週末朝倉にいくことになっている。何かできることはないか。
自分の頭で考えなければならない。
しばらく家から通える範囲のコンサートが続く。
しっかり、家でしかできないことをしよう。
ふう、とりあえず、ただいまです。